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* EGS4 Newsletter in Japan                    94ー3号 *
*                      1994年12月 8日 *
*                     高エネルギー物理学研究所  *
*                      放射線安全管理センター *
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<PEGS4の入力データ>
●気体の場合の入力データ
 気体の場合は、PEGS4の入力データとして、GASP が必要である事は、マニ
ュアルにも書かれているとおりです。GASPは、atm 単位のガス圧ですが、GASP≠1
の場合には、RHO の入力に注意が必要です。密度としては、取り扱っているガス
の密度を入力データとすれば良いと考えがちですが、気体の場合は、SLAC-265 の 
A3.3-4 に記載されているように RHO は、標準状態での密度を入力するようになっ
ています。PEGS4で作られた物質データの密度は、RHO*GASP になっているは
ずです。気体の物質データを作成した場合には確認してみて下さい。

●Sternheimer-Seltzer-Berger coefficients 
 PEGS4の入力データで、3枚目には、ユーザが定義した物質名 (MEDIUM) を
入れます。同じデータ行の31カラムからは、Sternheimer-Seltzer-Berger 
coefficients を指定する LABEL (IDSTRN) を入力します。LABEL として登録され
ている名称は、SLAC-265 の Table 2.13.2 及び pegs4.mortran の BLOCK DATA の 
MEDTB1 〜 MEDTB4 に記載されています。IDSTRN が、 Table 2.13.2 の LABEL の
いづれかと一致した場合は、Table 2.13.2 のパラメータが使用し、どの LABEL と
も一致しない場合には、SLAC-265 の74頁に記載されている Sternheimer and 
Peierls の general description により各パラメータを計算して 2.13.5 式の 
Density effect, δ, を求めます。元素の場合、物質名に元素記号そのものを使
用する場合には、IDSTRN を省略しても LABEL  として使用されている名称が、元
素記号記号と同じなので問題無いことが多いのですが、水素、炭素及び気体の場合
は注意が必要です。また、物質名が元素記号以外の文字を含む場合は、元素であっ
ても IDSTRN を必ず入力するようにして下さい。Table 2.13.2 のパラメータを使
用しなくてもエラーにはなりませんが、genral description はあくまで近似です
ので、せっかくパラメータが与えられている物質については Table 2.13.2 のパラ
メータを使用する方が良いと思います。
  炭素について−−Table 2.13.2 では、C-2.263 g/cm3, または C-1.70 g/cm3 と
                  なっていますが、C-2.263 G/CM**3, または C-1.70 G/CM**3
         が正しいので注意して下さい。
 水について −−水の LABEL 名称は WATER ではなく H2O ですので注意して下
         さい。


<ENERGY DEPOSITION SUMMARY FOR PARTICLES WITH IQ=-1,0,1
 の IARG の意味について>

        IARG=0 : 粒子の移動に伴うエネルギー吸収量=移動距離*阻止能
         電子と陽電子のみで発生。光子の場合は常に0
        IARG=1 : PEGS で設定した cut off energy 以下になったために発生
         したエネルギー吸収量。
        IARG=2 : EGS で設定した cut off energy 以下になったために発生
         したエネルギー吸収量。
        IARG=3 : 体系外に出るなどユーザーが粒子の追跡を止めたために
         発生したエネルギー吸収量
        IARG=4 : 光電吸収によるエネルギー吸収量
        ROW SUM: 0-5の合計

<IARG=1 と IARG=2 の関係について>
     ECUT (PCUT) を定義しない場合は、AE (AP) に設定されるようになっています。
     設定する場合には、
     ECUT (or PCUT) (ESS cut off energy) > AE (or AP) (PEGS cut off energy)
     にします。粒子のエネルギーが、ECUT (PCUT) 以下になると追跡を止めて、その
   時に粒子のエネルギーが、AE (AP) より大きいか小さいかで判断して、IARG=1
     か IARG=2 に分類しています。

<IARG=0の場合の意味について>
     先の定義で書きましたように、連続減衰モデルにより、電子・陽電子が移動中
   に失うエネルギー = 移動距離*阻止能 です。

<ECUT の設定の仕方について>
   [質問]現在,GM計数管のレスポンス関数の計算で,PEGS4 で電子の cut off 
     energy を AE=0.561MeV (運動エネルギー10keV) とし,ユーザープログラムで
     ECUT(I)=0 としています.電子の出力リストでは,IARG=0(主成分)と IARG=2
     のみに出力があります.これで正しいのでしょうか? IARG=1の出力があっても
     いいような気がするのですが?

       粒子のエネルギーが ECUT (PCUT) 以下になった場合、AE (AP) との大小関係
    から判断しますので、この場合は、必ず E 0.561  である必要がありま
    す。AE (AP) と同じ値にする場合は、ECUT (PCUT) の設定は必要ありません。

<文献紹介>
  第4回EGS4研究会の Proceedings が KEK Proceedings 94-8 として出版され
ました。研究会に参加された方にはお送りしましたが、参加されなかった方で希望さ
れる方は、平山まで連絡して下さい。
   Fax 0298-64-1993,  e-mail:hirayama@kekrc3.kek.jp