Linacgraphyにおける被写体・メタルプレートのpoint spread functionの算出 (日本学術振興会/阪大医・保健) 宮島悟史 【目的】 放射線治療で用いられる照射野照合画像(Linacgraphy)における散乱線の影響を検 討するため、被写体(水)・メタルプレート(金属増感板)内での散乱線による信号 の広がり(Point Spread Function: PSF)をMonte Carlo法を用いて算出した。 【方法】 水ファントム・メタルプレート内での散乱線による信号の広がり(point spread function: PSF)を、Monte Carlo法を用いて計算した。ペンシルビーム(単色光 子:250keV〜20MeV)が、水ファントム(10〜30cm)或いはメタルプレート(Al, Cu, Fe, W, Pb: 0.5〜5mm)に入射した際の射出光子/電子/陽電子の広がり(PSF)を算 出した。計算においては、射出面或いはair gapを挟んだ面における各粒子のenergy fluenceを、入射位置からの距離の関数([MeV/mm^2])として記録した。計算パラメ ータは入射光子エネルギー、水ファントム・メタルプレート厚、air gap(0 〜100cm:水ファントムの場合のみ)とした。得られた結果よ り、PSF、scatter-primary ratio (SPR)、メタルプレートにおける電子/陽電子への 変換効率を求めた。 計算には、Monte Carlo計算コードEGS4を用いた。電子/陽電子の追跡にはPRESTAを 使用した。計算における光子・電子/陽電子のcutoff energyは、いずれも10keV (PCUT = 10 keV, ECUT = 521 keV)とした。 【結果・考察】  水ファントムのPSFは被写体における信号のボケの程度を示し、画像上での解像度 の限界値を決定する。またメタルプレートの材質・厚さによるPSFの違いは、画像上 での解像度がメタルプレートの材質・厚さに依存することを示す。今回得られたPSF より、上記のパラメータが画像上での解像度に与える影響を検討することが可能であ る。またメタルプレートにおける変換効率は、画像上のノイズ・被曝線量に影響する 値である。