X線観測衛星Astro-E2 硬X線検出器(HXD)でのEGS4の活用 (埼玉大 / 理研) 洪 秀徴、(青学大)山岡和貴、 (理研)寺田幸功、(東大)古徳純一、他HXDチーム Astro-E2衛星は、2000年2月にロケットの不具合により打ち上げに失敗してし まった日本の5番目のX線観測衛星 Astro-Eの再挑戦衛星である。Astro-E2衛星 に搭載される硬X線検出器(HXD-II)は、宇宙から来る10〜600keVの硬X線・軟ガ ンマ線の検出器である。 HXDは、GSOとBGOのシンチレータ結晶を井戸型フォスイッチ検出器にして、そ れを4×4の複眼状に配置した主検出器と、その周囲を取り囲む厚いBGOからな るシールド検出器とで構成されている。HXDの特徴は、バックグラウンドを徹 底的に排除して、過去最高の検出感度を実現していることである。 HXDのシールド検出器は広い視野と巨大な有効面積を持っているので、アクティ ブシールドとして用いるだけでなく、全天をモニタする装置としても使用でき る。全天モニタとして使う時には、天体のエネルギースペクトルを得たり、突 発天体の位置を決定したりすることが可能である。この機能を実現するために は、このシールド検出器のエネルギー応答や角度応答を正確に求める必要があ る。 我々はAstro-E衛星の時に、放射線源を使ってシールド検出器の応答を調べる と共に、EGS4を用いて検出器の応答をシミュレーションし、実験結果との比較 を繰り返すことでHXDのシールド検出器の応答関数を構築してきた。 HXD-IIでは今後、EGS4を用いたシミュレーションだけでなく、Geant4を用いて 検出器のより精密なジオメトリを構築し、シミュレーションのクロスチェック を行いつつ、より正確な応答関数の構築を目指していく予定である。そして、 将来的には衛星全体の応答をもシミュレーションするつもりである。