加速器室内の空気における放射性核種の存在状態の分析

加速器の運転中には、加速器室内の空気は、ビームロスなどにより発生する二次粒子線(中性子線や陽子線、ガンマ線(制動放射線)など)や放射光などにさらされています。これらの強い放射線により、空気中に放射性核種が生成されます。
加速器室空気内の放射性核種の存在状態や化学形を調べた結果、放射性核種は気体(ガス)状態や、気体中に浮遊する固体または液体の微粒子(エアロゾル)として存在し、その化学形態も通常の空気中と異なることが分かりました。


加速器室内の空気における放射性核種の生成

加速器室空気内における放射性核種の生成機構については、次の3つが考えられます。

  1. O2, N2, Ar (空気中; 〜1% )の核破砕反応
  2. 微量気体成分の放射化
  3. 空気中に浮遊するダストの放射化



放射性核種の存在状態

加速器室内の空気をフィルターにより気体成分とエアロゾル成分に分離し、それぞれに含まれる放射性核種を調べたところ、核種によってエアロゾルとして存在しやすいものと気体として存在しやすいものがあることが分かりました。また、放射性エアロゾルの粒径分布は、非放射性のエアロゾルに比べて大きな粒径の割合が高いことがわかりました。この粒径分布の特徴は、非放射性エアロゾルが生成された後、エアロゾル表面に放射性核種が吸着される過程を反映していると考えられます。



放射性核種の化学形

気体成分の11Cおよび13Nの化学形について検討を行った結果、11Cについては、11CO:80%, 11CO2:20%、13Nについては、13NN:55%, 13NO2:37%であることがわかりました。また、38S, 38Cl, 39Cl, 82Brの存在状態についても、表のような結果が得られています。



関連文献

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